メタル・コンテイナー社飲料缶製造工場売却の可能性

2019年12月 3日

世界最大のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社(以降、ABインベヴ社)は、2008年にアンハイザー・ブッシュ社買収に伴い取得したメタル・コンテイナー社の米国における製缶工場の残り全てを売却する計画を、ドイツ銀行と進めていると言われている。
ABインベヴ社は、これまでにメタル・コンテイナー社所有の製缶工場4工場を、世界最大の製缶会社ボール社に売却している。その当時、メタル・コンテイナー社は、製缶・製蓋工場11工場を操業していた。
その後、2016年のビールメーカーSABミラー社を買収したABインベヴ社は、米当局より資産削減・売却を求められ、また同時に、同社自身も負債軽減に注力する状況にある。
米国ミズーリ州セントルイスを拠点とするメタル・コンテイナー社の売却対象となる資産は、飲料製缶工場5工場、つまり、ミズーリ州アーノルド、フロリダ州ジャクソンビル、カルフォルニア州ミラローマ、ニューヨーク州ニューバーグ、及び、コロラド州ウインザー、そして製蓋ラインと見られている。ジャクソンビルとアーノルドの工場にはアルミボトル製造ラインも含まれ、また、ニューバーグ工場は、製缶ライン6ラインを有する、米国でも最大級の飲料缶製造工場のひとつである。これら5工場の年間生産能力を合わせると約200億缶となり、その数字は米国での年間飲料缶販売数量のおよそ1/5に匹敵する。
これらの製缶工場が実際に売りに出されると仮定した場合、最も考えられる売却先は、コロラド州を拠点とする製缶会社のボール社である。米国内に16製缶工場を持つボール社(クラウン・ホールディングズ社は米国内に10工場、アルダー・グループは同7工場、ロッキー・マウンテン社JVが同1工場をそれぞれ所有)は、米国市場を独占する製缶会社であり、同社によるこれ以上の製缶工場買収に関しては、米当局が容易には承認しないことが予想される。

(The Canmaker, Nov.29, 2019)

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