“低炭素”アルミで作るビール缶

2020年10月13日

世界最大のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABインベヴ)社の人気ブランド“ミケロブ・ウルトラ”は、低カロリー・低アルコールが売りのビールであるが、近いうちに、“低炭素”としても注目されるかもしれない。

ABインベヴ社は、鉱業・資源大手のリオ・ティント社(英国)との提携を通じ、従来の石炭発電に代わる水力発電による電力で製錬するアルミを原料として作られる“低炭素”のアルミ製ビール缶を、ミケロブ・ウルトラ向けに百万缶製造することを明らかにした。

“低炭素”アルミ缶は、缶飲料業界では初の使用となり、従来のアルミ缶と比較し二酸化炭素排出量を30%削減可能であるとABインベヴ社は説明する。

この画期的な製錬技術は、水力発電による電力を利用し、アルミの生成過程で使用する炭素陽極を不活性陽極にすることで、工場からの排出を二酸化炭素から酸素に変えることを可能にすると、リオ・ティント社とアルコア社のジョイント・ベンチャーであるエリシス社はコメントしている。この技術には、その他、アップル社及びカナダ政府が投資している。

世界で利用されるアルミが中国の石炭発電による電力で製造されるものが多い中、環境に優しい低炭素アルミ製造技術への投資を進める動きは各国で見られ始めている。これに伴い、ロンドン金属取引所は、低炭素アルミ二ウムのための取引プラットフォーム設置を検討すると今夏明らかにした。

二酸化炭素の世界総排出量の1%は、アルミ製造によるものと推定されている。

BusinessGreen, Oct.9, 2020 / St.Louis Post-Dispatch, Oct.7, 2020

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