ハード・セルツァー、そしてランチ・ウォーター

2021年 3月23日

ラガーで知られるハイネケン社は、そのビール醸造で築かれた157年の歴史から離れつつある。コロナ禍にも強かったハード・セルツァーに代表されるビールに近いアルコール飲料は、今、ハイネケン社の視野にはっきりと入っている。

ハイネケン社が現時点で目指すのは、ハード・セルツァー新製品“Pure Pirana”の欧州での展開である。ハード・セルツァーは、近年世界的に注目されているが、その売上が急増しているのは現時点では北米市場に限られた現象である。

Pure Piranaはスロバキアにある同社ビール醸造施設で製造される。昨年、Pure Piranaがメキシコ及びニュージーランドで発売された際には、それぞれ現地の製造施設で生産された。このように地元で生産するのは、その土地の好みに合った味に調整し易いからでもある。

上記の新製品に加え同社が今注目するのが、ハード・セルツァーの一種として人気急上昇中の、テキーラ、ライムジュース、そして炭酸ウォーターで作られた飲料をベースとする“ランチ(ranch)ウォーター”である。これまではテキサス州を中心とする米国南部地域にその人気が限られていたランチ・ウォーターは、激戦のハード・セルツァー・カテゴリーで差別化を図りたい各飲料メーカーが次のフレーバー・アルコール飲料として目を付け始めた飲料スタイルである。テキーラは、昨年の米国での外出規制中に特に売上を伸ばした蒸留酒の一つである。

ハイネケン社は、数週間前に、同社の人気メキシカン・ビール・ブランド“ドセキス(Dos Equis)”のハード・セルツァー/ランチ・ウォーター版として、ドセキス・ランチ・ウォーターを発表した。

just-drinks.com, Mar.22, 2021

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