カンナビス飲料市場の急成長と未来
2024年12月25日
近年、カンナビス(大麻)とCBD(※1)を含む飲料の市場が急速に成長している。これは、合法化の進展や消費者の健康志向、リラクゼーションや社交の新たな手段への関心が高まったことが背景にある。グランドビュー・リサーチの調査によれば、2023年のカンナビス飲料市場は11.6億ドルと評価され、2024年から2030年まで年平均成長率(CAGR)19.2%で成長すると予測されている。特に北米市場は、米国とカナダでの合法化の進展によりこの分野で支配的である。
アメリカでは、カンナビス飲料市場が2025年までに14億ドルに達すると予測されており、これは複数の州での娯楽用合法化と、アルコールの代替品を求める消費者の需要増加によるものだ。
カンナビス飲料の成長は、風味の向上、アダプトゲンなどの機能性成分を活用した製品の革新によって進んでいる。また、アルコールの代替として健康志向の消費者や禁酒志向の消費者に受け入れられている。特に若い世代(Z世代やミレニアル世代)は、アルコールを健康に悪影響があると認識し、カンナビス飲料をより健康的な選択肢と見なしている。
また、カンナビス飲料は一部の酒類店舗やレストランにも登場しており、これらの飲料は医療用や娯楽用大麻が合法化されている州では店頭で見かけられるようになった。カリフォルニア、コロラド、ネバダ州では、カンナビス専門のソムリエが提供するディナーイベントも行われており、消費者は現地でカンナビスを楽しむことができる。
一方で、カンナビスとCBDを含む飲料が急成長する中、合法化の進展には地域差があり、いくつかの州では飲料の販売を酒類店やカンナビス専門店に制限している場合もある。例えば、2024年5月に署名されたコネチカット州の法律は、THC(※2)飲料が州ライセンスを持つ酒類店とカンナビス小売業者でのみ販売されることを義務付けている。
市場のデータによると、カンナビス飲料は広範囲な消費者層に受け入れられており、若い世代では低糖、低用量の飲料が、中高年層では中用量で風味豊かなソーダが好まれている。CBDとTHCが組み合わさった製品は、リラックスした夜の時間を楽しみたい消費者に人気があり、こうした飲料が成長し続けることが予想される。
未来のカンナビス飲料市場については、CBDとカンナビスを含む飲料がアルコールの代替として引き続き人気を集めると予想されるが、市場が過剰に飽和する可能性もある。しかし、現在の成長を見れば、まだ市場には成長の余地が多く残されているといえる。
(※1)CBD(カンナビジオール)は、大麻(カンナビス)植物に含まれる化学物質の一種で、主に健康やウェルネス用途で注目されている成分。CBDは、精神作用を引き起こすTHCとは異なり、依存性や陶酔感を与えることはない。そのため、CBDは合法的に利用できる場合が多い。
CBDは、痛みの軽減、不安の緩和、睡眠の質の改善、炎症の抑制など、さまざまな健康効果が期待されており、オイルやクリーム、カプセル、飲料など、さまざまな製品に使用されている。特に、ストレスや不安を和らげるためのサプリメントや、睡眠の改善を目的とした製品として人気が高い。
(※2)THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻(カンナビス)植物に含まれる主要な精神活性化学物質である。THCは、大麻を摂取した際に感じる「ハイ」や陶酔感を引き起こす成分で、精神的な影響を与えることから、薬理学的に重要な役割を果たす。
THCは、脳内のカンナビノイド受容体に結びつき、神経伝達物質の働きに影響を与えることで、気分や感覚の変化を引き起こす。これにより、リラックス感や食欲増進、痛みの軽減などが感じられる一方、過剰摂取による不安やパニック、記憶障害などの副作用も生じることがある。
多くの国や地域では、THCを含む製品は規制されており、合法化されている地域では、医療用や娯楽用として販売されることがある。
BeverageDynamics, December 9, 2024