大手ビール3社の限定パッケージ戦略

2025年 5月20日

大手ビールブランドのバドワイザー、ハイネケン、ミラーライトの3社は、消費者との接点を深める手段として今春限定版パッケージを活用した。限定商品は「今しか買えない」特別感を演出し、ブランドの話題性や魅力を高めるための効果的な手法とされている。

 

1. ミラーライト × プリングルズ:ビール風味のスナックコラボ

ミラーライトはプリングルズとコラボレーションし、**「ビア缶チキン味」と「グリルビアブラート味」**の2種類の限定フレーバーを発売した。どちらもアメリカのバーベキュー文化に根ざしたビールに合う料理から着想を得ており、ビールとスナックの融合を体現している。

 

パッケージデザインには、グリルされたチキンやソーセージのイラストを用い、視覚的に風味を伝えている。ビア缶チキン味は白を基調とし、グリルビアブラート味は濃紺を基調としており、どちらもミラーライトのブランドカラーであるゴールドのバンドが上部に配置されている。ゴールドのホップのイラストもあしらわれ、ミラーライトらしさを強調している。

 

2. ハイネケン「Smootheriser」:ビールからスキンケアへ

ハイネケンはエイプリルフールの冗談として始まったアイデアを実現し、スキンケアクリーム「Smootheriser(スムーサライザー)」を限定発売した。ビールと同様に大麦とホップを配合し、肌をなめらかに整える保湿クリームとして販売された。

 

容器はアルミ缶のような外観で、スクリュー式のキャップを備えている。見た目はまるでビール缶であり、遊び心のあるパッケージデザインとなっている。

この製品は台湾とカンボジアで数量限定で配布され、スキンケア市場の盛り上がりと「自分磨き」トレンドをうまく捉えたユニークなアプローチとなった。

 

3. バドワイザー「エドモントン缶」:都市と英雄へのオマージュ

バドワイザーはカナダ・アルバータ州のエドモントンをテーマに、地元出身のアイスホッケー界の伝説マーク・メシエと協力した限定版「エドモントン缶」を発売。この缶は、メシエの地元への貢献と誇りを称える内容となっている。

 

通常の「Budweiser」ロゴの代わりに**「Edmonton」**の文字が大きく配され、地元醸造であることや「City of Champions(チャンピオンの街)」という愛称を称えている。側面にはメシエの功績やリーダーシップへの敬意を示すテキストと、QRコードが掲載され、動画コンテンツにリンクされている。メシエの背番号「11」や、都市の歴史を象徴するメダリオン(記章)風のデザインも含まれ、細部にまで意味が込められている。

 

この缶は4月14日よりアルバータ州で15缶パックとして限定販売されており、バドワイザーが45年以上にわたりエドモントンで醸造されてきた歴史とも結びついている。

 

 

各ブランドは限定版商品やパッケージを通じてブランドの価値観や個性を再定義し、顧客との新しい関係性の構築を目指している。飲料としての枠を超えたアプローチにより、より広い層へのリーチや話題性の創出に成功していると言えるだろう。

Packaging Digest, April 30, 2025

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