米国クラフトビール業界、2025年予想

2025年 7月30日

米国のクラフトビール業界は、2025年前半、前年同期比で出荷量が4.1%減少した。これはビール市場全体の減少幅(4.2%)とほぼ同じで、わずかに良い結果とも言える。

一方で、クラフトビールの飲用者数は増加しており、2024年のデータでは21歳以上の成人のうち9.8%が過去30日間にクラフトビールを飲んでおり、これは2013年調査時から6.6%の増加を意味する。

 

消費頻度は下がっているものの、これは「少なく、しかし高品質なものを飲む」という全体的なトレンドと一致しており、出荷量の減少は、新たな収益源を求める醸造所がビール以外の製品に事業を多角化する動きによる部分もある。

 

醸造所の数は減少傾向にあり、2025年6月時点で稼働中のクラフトブルワリーは9,269軒で、前年同月(9,352軒)より1%減った。特に流通型の小規模醸造所(マイクロブルワリー)の減少が目立ち、3%の減少となった。それでも、生産量を伸ばしたと答えた醸造所の割合(49%)が、減少したと答えた割合(47%)をわずかに上回った。タップルームやブリューパブは業界全体の出荷量の15%にとどまるが、クラフトビジネス全体の73%を占めるなど、存在感は大きい。

 

全体としては、過去数年の課題が続いており、一部ではさらに悪化している。2024年にわずかに成長した醸造所も、2025年前半には減少に転じた例がある。

今後の焦点は2025年後半の動向だが、ブリュワーズ・アソシエーションのエコノミストであるマット・ガイオック氏は、経済や消費者動向から見て、現状の逆風が和らぐ可能性は低く、関税や法改正がビール市場に影響を与える可能性もあるが、まだ不確定要素が多く、予測は難しいという。

BeverageDaily, July 25, 2025

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