アルミ缶で進める循環型経済
2025年 9月18日
2025年のニューヨーク気候週間中、世界飲料缶循環同盟(GBCCA)では、アルミニウム製の二片缶が低炭素・循環型経済への移行において果たす役割に注目が集まる。
国際アルミニウム協会(IAI)は、9月25日に開催される「世界気候・生物多様性サミット」において「アルミニウムの実践:飲料缶が循環の輪を閉じる方法」と題したセッションを開催する。このイベントでは、アルミニウム包装が脱炭素化にどう貢献するかを示し、リサイクル率向上のための新技術や投資、政策提言などが議論される。
IAIのマルレン・ベルトラム氏は、「アルミニウムは品質を損なわずに何度でもリサイクル可能な数少ない素材であり、回収すれば炭素排出を削減し、廃棄物も減らせる」と述べた。
米国アルミニウム協会のカート・ウェルズ氏は、「毎年10億ドル以上のアルミニウムが廃棄されており、この現状を放置することはできない」と警告した。
IAIによれば、アルミ缶は世界で最もリサイクル率が高く、再生アルミニウムの製造には新規製造に比べて95%も少ないエネルギーで済む。しかし、世界全体のリサイクル率は71%なのに対し、米国では43%にとどまり、半数以上の缶が埋立て処分されている。
さらに、再生された缶のうち実際に再び缶として使われるのは47%のみである一方、理論上87%の缶は再び缶として利用可能であり、これによりマンガンやマグネシウムなどの貴重な合金成分の損失を防げるという。
缶製造者協会(CMI)のスコット・ブリーン氏は、「使用済み飲料缶が新しい缶になるまでにかかる時間はわずか60日であり、米国のアルミ缶業界は、高性能な生産者責任型リサイクル制度の導入や、外出先での回収推進、AI搭載ロボットによる回収装置の導入などを通じてリサイクル率の向上に取り組んでいる」と述べた。
GBCCAは2023年のCOP28(UAE開催)後に設立された団体であり、IAIは世界の一次アルミニウム産業を代表し、50年以上にわたり生産、消費、エネルギー使用、環境影響に関するデータを管理している。
The Canmaker, September 15, 2025