次世代甘味料に期待─砂糖代替の4技術
2025年12月 9日
今、世界各地で低カロリーかつ自然由来で「味も妥協しない」砂糖代替技術の開発が進んでいる。
従来のステビアでは後味の苦みがあり、他の甘味料との混合や風味の改善が必要だが、世界各地のスタートアップ会社が現在新たな4種の甘味料技術を提案している。
Yacon & co(ペルー)
南米アンデス原産の塊根野菜 ヤーコン を用い、果糖オリゴ糖(FOS)に富むシロップを製造。通常の砂糖と比べてカロリーは半分、糖分は4分の1に抑えられており、腸内環境にも配慮される。ベーカリーでは砂糖量を最大30%削減でき、飲料でも結晶化せず溶けやすいという。
Coccola(イタリア)
ココナッツミルク粉末とココナッツウォーターパウダーを混合した、非合成の甘味料。電解質やミネラル、タンパク質を含み、飲料やスムージー、コーヒーに加えることで、甘味と同時に水分補給や代謝サポート、脂溶性ビタミンの吸収促進が期待される。
Zya(英国)
甘さを与えるだけでなく、摂取した砂糖の約30%を腸内でプレバイオティック繊維に変換する酵素「Convero」を開発。味を大きく変えず、砂糖のネット糖量を減らしつつ繊維を補給できる新発想で、菓子や飲料、乳製品など幅広い応用が可能。腸内環境や体重管理を重視する人に向いている。
Gova(フィンランド)
「後味のない」砂糖代替を目指し、甘味料の被覆(カプセル化)技術を導入。70%エリスリトール+30%砂糖のハイブリッドや、エリスリトールを他の甘味料と混合する方式などを試み、後味や苦味を軽減。砂糖ゼロのホワイトチョコレート試作品などにも成功しており、クリーンラベル時代の甘味料として注目される。
なぜ今、新甘味料が注目されるか。
消費者は「低カロリー」「自然由来」「美味しさ」のすべてを求めており、従来のステビアやモンクフルーツだけではニーズを満たしきれていない。新たな甘味料は、味だけでなく、機能性(腸内環境、ビタミン吸収、血糖コントロールなど)も備えることで、従来の砂糖代替の枠を超えようとしている。食品・飲料の実用途で「おいしさ」と「健康」の両立ができれば、今後主流になる可能性が高い。
これら新技術は、実際の飲料・菓子・乳製品などへの応用が次のステップ。だが、「味」「コスト」「機能性」「製造工程での安定性」のすべてを満たす甘味料の実用化は容易ではない。成功すれば、クリーンラベル時代における砂糖代替の主役となる可能性があるが、消費者や業界の受け入れ、規制対応などが鍵となるだろう。
FoodNavigator Europe, December 4, 2025
