中東紛争が金属市場に与える影響

2026年 3月11日

中東で高まる地政学的緊張は、世界の資源市場に影響を及ぼし、特に鉄鋼やアルミニウムなど金属産業に大きなリスクをもたらしている。最大の懸念は世界の重要なエネルギー輸送路であるホルムズ海峡であり、ここで輸送が滞れば世界の石油・ガス供給が大きく減少し、2022年のロシアのウクライナ侵攻後のようなエネルギー危機を引き起こす可能性がある。

 

鉄鋼市場への影響は主にエネルギー価格の上昇を通じた間接的なものとみられる。中東は年間約5,000万〜5,500万トンの粗鋼を生産し、特にイランは大きな生産国だが、制裁の影響で輸出量は限定的である。そのため世界市場への供給減よりも、石油・ガス価格上昇による生産コスト増加が鉄鋼価格に影響を与える可能性が高い。

 

一方、アルミニウムはより直接的な供給リスクに直面している。中東は世界生産の約9%を占める重要な生産拠点であり、製錬所は安定した天然ガス供給に依存している。実際にカタールではガス施設の損傷によりアルミ生産が削減されており、さらなる供給障害が起きれば、すでに不足状態にある世界のアルミ市場はさらに逼迫し、価格が1トン4,000ドル近くまで上昇する可能性がある。

 

物流の混乱や輸送コストの上昇も価格上昇圧力を強める要因となる。また中国は中東から多くのエネルギーを輸入しているが、石炭依存や戦略備蓄により短期的な影響は限定的とみられる。ただし紛争が長期化すれば影響は拡大する。

 

欧州ではすでにエネルギー価格が大幅に上昇しており、電力価格に依存するアルミ製錬所は大きな収益圧迫を受けている。将来的にはインドネシアで新たな製錬能力の増加が見込まれるものの、それまでの間は供給不足がさらに深刻化する可能性がある。結果として、紛争の長期化は世界の金属市場と経済全体に広範な影響を与えると考えられている。

The Canmaker, March 5, 2026

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