米大陸のアルミ飲料缶、成長の鍵

2023年 9月21日

ここ10年間、飲料業界で最も目を惹くトレンドの一つに、缶採用の劇的な増加がある。その需要増を導くのは、缶のサステナビリティや持ち運び易さ、と一般的に指摘されることが多いが、実際にはむしろ、昨今、最もダイナミックな売上を遂げている飲料カテゴリーによる缶の採用にあるのであり、それこそが飲料缶成功の鍵である。

現在、米大陸市場の飲料缶のおよそ5缶に4缶が、ビールあるいは炭酸飲料用に使用されている。しかし、2022年から2027年、飲料缶需要増の1/3以上が、これらとは異なる飲料カテゴリーから来ることが予想されている。その中で最も重要と見られる飲料カテゴリーがエナジードリンクである。レッド・ブルのような確立されたブランドが、今後、缶以外の容器を使用する可能性はほとんど考えられないであろう。

今、成長目覚ましいアルコールRTDカテゴリーもそのような飲料の一つである。数年前の人気は今や下火になってしまったハード・セルツァー、また、現在売上好調のRTDカクテル、両者いずれもほぼ100%缶で提供されている。

そして、“ボトルド(bottled)”ウォーター。米国ではLiquid Deathの爆発的人気をきっかけに、スパークリング゙だけでなく非炭酸のウォーターにおいても缶の採用が増えつつあり、ボトルド・ウォーターのカテゴリー名に徐々に違和感を覚えるような事態である。

ここに挙げた飲料カテゴリー全てに共通するのは、容器が缶、特にスリムな缶、であるだけでなく、機能性、あるいは、健康/ウェルネスのイメージを掲げる飲料である点である。消費者にとり、サステナビリティは確かに重要課題ではあるが、健康/ウェルネスを前にしては、優先順位は二番目となってしまうであろう。それを示す良い例が、食缶である。缶詰食品は、リサイクル可能であるにもかかわらず、米国では、スープなど加工食品カテゴリー、つまりヘルシーでないイメージ、に連想されがちであるため、飲料缶とは異なり、この点が弱点となる可能性がある。

米国最大の州、カルフォルニア州は、プラスチック製ボトルには脅威となる規制を今後施行する。2032年までに、プラスチック包装の使用を25%削減し、同州で使用される包装全てをリサイクル可能、あるいは、堆肥化可能にすることを目標に掲げることを明らかにした。

アルミ飲料缶も全く問題がないわけではない。アルミ缶は、原料価格、サプライ・チェーン問題等で不安定な要素がある。しかしながら、上記の点から、将来登場する飲料カテゴリーが、これからも缶を採用する可能性は非常に高いと予想される。

Euromonitor International, Sept.14, 2023

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